純米酒と「調理」実験

 最近、そこそこの値がするらしい純米酒を貰ったので良く料理に使っている。生憎、酒類を楽しめる身では無い為に専ら「旨味実験」が中心だ。

 水に対して何割入れたか、加熱時間はどうか……それによって味がどれだけ変わったか、といった「個人単位の人体実験」といっても良いかもしれない。

 それに対して私は「美味しい!」と感動するべきなのだろうがそうもいかない、何故か瞬間的に「第三者視点」のような感覚が物事を等しく分析するべく動いている。

 具体的にセリフに直すなら「なるほど、これは世間で表されるところの「美味しい」味だ」といったところだろうか。そして同様に蓄積されたデータを参照しながら「前の使い方よりも劣るな」とか「以前のこれと近い」とか、そんなことを考えては、再度条件を変えて実験を繰り返している。

 思えば実家でも、焼芋なんかを作る際にも同じことをやっていたか。同じ芋をまとめ買いしてはアルミホイルの種類や巻き方、キッチンペーパーを入れるか入れないか、オーブンレンジの温度や焼き時間はどうか……そんなことをノートを取りつつ延々と実験していた記憶がある。勿論、焼芋以外でも。

 恐らく環境さえ整えば今でも楽しめるのだろうけど、もう食べる口は一つになってしまった。こういう「地に足の付いた探究」みたいなのは、まだ私にとっては珍しい楽しみの一つでもある。多分ね。


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