魔改造の末

 一人で暇を持て余す時間が多いと、どうしても思考の量が増えていく傾向にある。特に、仕事もほとんど無い場合はそれは無尽蔵に湧き出ることになる。本当はもっと、何かがやりたかったはずなのだが色々あって置いてきてしまった。

 それでも、ただ過ぎ去る日々を回避する為の新しいコミュニティを見出しても、私から見てそこが「満たされている」時、入ることを躊躇してしまう。完成された物に何かを加えることはその時点で美しさを損なう、と感じてのことだ。

 私からすると、それは出された料理を一口も付けずに卓上調味料を加える行為に等しく、何かを作った者に対する世界観の破壊にすら感じられる。

 しかし、珍しく私にもそれが無くなる時があるのだ。逆に云えば、その瞬間にしか解除出来ないとも云う。

 「空席」或いは「14番目」。

 14番目、というとなんだかわからないが中世、かつてパーティが乱立していた頃に何かの間違いで13人で行われる「不都合」を防ぐ為に参加するような、れっきとした「職業」らしい。

 私はそういった「欠け」がある上で、埋められそうな時に異様な勢いで駆けつけてはそれを埋めていくような人間である、と思う。一応、これも「価値に適応させる為の魔改造」と表現することも出来そうだけれど今の時代に於いて、それで金銭が発生する訳でも無い。

 つまるところ、「これが無い」とか「わからない」に対して「それ、私なら見つけられるかもしれんぞ」くらいで動いている。

 更に、そんな「魔改造」に精を出してきたおかげで自分のことにはとんと欲が沸かず、ミニマリストに近い生活にしてそれを「十分である」と評価する始末だ。1に近付けることは出来ても0を1にする、謂わば何かを創り出すことを不得手とする人間性が出来上がってしまった。

 そうして、今現在も何か新しいことをしなくてはな、と考える日々だ。出来ているかは別として。


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